バンガード社の提供するVTIとVYMは、数ある米国ETFの中でもメジャーなETFですが、それぞれVTIは「全市場平均型」、VYMは「高配当型」という特徴があります。
今日は、この二つのETFを2015年から10年間定額積立した際の含み益と配当額について検証していきます。
米国ETFの購入を検討している方で、全市場型か高配当型のどちらを購入するか迷っている方の参考になれば幸いです。
比較対象になるETF概要
初めに、念のため両ETFの概要を簡単におさらいします。既にご存知の方は読み飛ばして頂いて良いです。
大雑把にいうと、VTIが米国全市場を対象としたETF、VYMが米国高配当株を中心としたETFであり、両方とも同じバンガード社の運用、時価総額規模も十分な規模がありますので、今回の比較に適していると考えた次第です。
VTIの概要
VTIはバンガード社が運用するETFで、正式名称を「Vanguard Total Stock Market ETF」といいます。 VTIは「CRSP US Total Market Index」に連動するように運用され、米国株式市場の投資可能な銘柄をほぼ全てカバーしています。
銘柄名 | Vanguard Total Stock Market ETF |
運用会社 | Vanguard社 |
単価 | 298.60 USドル |
配当利回り | 1.21% |
経費率 | 0.03% |
時価総額 | 1,994億 USドル |
組入銘柄上位 | AAPL, MSFT, NVDA, AMZN,META |
10年パフォーマンス | 12.50%/年 |
VYMの概要
VYMはバンガード社が運用するETFで、正式名称を「Vanguard High Dividend Yield ETF」といいます。 VYMは「FTSE High Dividend Yield Index」に連動するように運用され、米国株式市場の中で平均以上の配当を出す株式で構成されています。
銘柄名 | Vanguard High Dividend Yield ETF |
運用会社 | Vanguard社 |
単価 | 132.36 USドル |
配当利回り | 2.68% |
経費率 | 0.06% |
時価総額 | 1,404億 USドル |
組入銘柄上位 | AVGO, JPM, XOM, PG,WMT |
10年パフォーマンス | 9.77%/年 |
比較検証の前提
今回の比較検証にあたっては、以下の通り前提を置いています。
- 2015年1月から2024年12月まで、毎月最終営業日に1,000USドルを定期積立購入。
- ETFなので本来は1,000USピッタリ購入することは不可能だが、便宜的にピッタリ購入することにする。
- 配当に対しては28.2835%の税金(米国10%+日本国内20.315%)がかかる前提で差し引いた。
- 含み益については売却時に20.315%の税金がかかる前提でその分を差し引いた。
- 両方とも配当は再投資しない前提で比較。
最後の配当を再投資しない前提ですが、高配当株投資の醍醐味は足元の現金収入によるQOL(Quality of Life)の上昇にあると個人的には考えていますので、ここではそのようにしています。
逆に、全て再投資するのであれば、高配当株投資には意味を見出しづらい状況になってしまうかと思います。
検証結果
上記前提で検証をした結果は、以下の通りになりました。
VTIの積み立て結果
VTIを10年間積み立てた結果、税引き後の含み益は+90,838USドル、累計配当は+9,727USドル、合計+100,565USドルとなりました。
年末時点 | 投資元本(USドル) | VTI 含み益(USドル) | VTI 累計配当(USドル) |
2015年 | 12,000 | 193 | 107 |
2016年 | 24,000 | 1,236 | 408 |
2017年 | 36,000 | 6,166 | 893 |
2018年 | 48,000 | 8,047 | 1,597 |
2019年 | 60,000 | 13,893 | 2,556 |
2020年 | 72,000 | 27,515 | 3,625 |
2021年 | 84,000 | 46,534 | 4,886 |
2022年 | 96,000 | 33,565 | 6,382 |
2023年 | 108,000 | 47,270 | 7,718 |
2024年 | 120,000 | 90,838 | 9,727 |
VYMの積み立て結果
VYMを10年間積み立てた結果、税引き後の含み益は+50,555USドル、累計配当は+16,413USドル、合計+66,969USドルとなりました。
年末時点 | 投資元本(USドル) | VYM 含み益(USドル) | VYM 累計配当(USドル) |
2015年 | 12,000 | 163 | 176 |
2016年 | 24,000 | 1,490 | 637 |
2017年 | 36,000 | 5,228 | 1,406 |
2018年 | 48,000 | 6,115 | 2,531 |
2019年 | 60,000 | 9,013 | 4,026 |
2020年 | 72,000 | 9,268 | 5,853 |
2021年 | 84,000 | 20,817 | 8,087 |
2022年 | 96,000 | 27,687 | 10,694 |
2023年 | 108,000 | 23,028 | 13,067 |
2024年 | 120,000 | 50,555 | 16,413 |
VYMについては、参考までに配当を全て再投資したパターンも検証しています。この場合税引き後の含み益は+68,851USドルになりました。
検証結果のまとめと所感
事前に予想していた通りですが、含み益+累計配当の合計利益は高配当型のVYMよりも全市場型のVTIの方が勝るという結果になりました。その差は比率にして約1.5倍、金額にして約44,000USドル(=1USドル150円前提で660万円)です。
一方で、配当金額については当然VYMの方が大きく、積み立て5年目で約1,500USドル、10年目で約7,000USドル、VYMの方が配当を多く受け取ることが出来ます。
1USドル150円を前提にすると、それぞれ約22万円、約100万円になりますので、その分を趣味や生活費に充てることで、早い段階からQOLを充実させるという考え方もあります。
将来的なリターンの大きさ(できるだけ早く資産を大きくする)、現在の生活を優先するかどうかで選択肢が変わりそうですね。