VYMとVTIの2015~2024年の含み益と配当額を比較

資産運用
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バンガード社の提供するVTIとVYMは、数ある米国ETFの中でもメジャーなETFですが、それぞれVTIは「全市場平均型」、VYMは「高配当型」という特徴があります。

今日は、この二つのETFを2015年から10年間定額積立した際の含み益と配当額について検証していきます。

米国ETFの購入を検討している方で、全市場型か高配当型のどちらを購入するか迷っている方の参考になれば幸いです。    

この記事のポイント
  • 2015~2024年のVTIとVYMの積み立て結果を比較した結果、含み益+累計配当はVTIの方が大きいという結果になった。
  • 一方、積み立て期間中の受取配当金はVYMの方が大きく、直近の趣味や生活費に充てることが出来る。
  • 総合すると、各個人の考え方(資産増加を重視するか、直近のQOLを重視するか)次第で選択をすると良い。

比較対象になるETF概要

初めに、念のため両ETFの概要を簡単におさらいします。既にご存知の方は読み飛ばして頂いて良いです。

大雑把にいうと、VTIが米国全市場を対象としたETF、VYMが米国高配当株を中心としたETFであり、両方とも同じバンガード社の運用、時価総額規模も十分な規模がありますので、今回の比較に適していると考えた次第です。

VTIの概要

VTIはバンガード社が運用するETFで、正式名称を「Vanguard Total Stock Market ETF」といいます。 VTIは「CRSP US Total Market Index」に連動するように運用され、米国株式市場の投資可能な銘柄をほぼ全てカバーしています。  

銘柄名 Vanguard Total Stock Market ETF
運用会社 Vanguard社
単価 298.60 USドル
配当利回り 1.21%
経費率 0.03%
時価総額 1,994億 USドル
組入銘柄上位 AAPL, MSFT, NVDA, AMZN,META
10年パフォーマンス 12.50%/年

VYMの概要

VYMはバンガード社が運用するETFで、正式名称を「Vanguard High Dividend Yield ETF」といいます。 VYMは「FTSE High Dividend Yield Index」に連動するように運用され、米国株式市場の中で平均以上の配当を出す株式で構成されています。    

銘柄名 Vanguard High Dividend Yield ETF
運用会社 Vanguard社
単価 132.36 USドル
配当利回り 2.68%
経費率 0.06%
時価総額 1,404億 USドル
組入銘柄上位 AVGO, JPM, XOM, PG,WMT
10年パフォーマンス 9.77%/年

比較検証の前提

今回の比較検証にあたっては、以下の通り前提を置いています。

  1. 2015年1月から2024年12月まで、毎月最終営業日に1,000USドルを定期積立購入。
  2. ETFなので本来は1,000USピッタリ購入することは不可能だが、便宜的にピッタリ購入することにする。
  3. 配当に対しては28.2835%の税金(米国10%+日本国内20.315%)がかかる前提で差し引いた。
  4. 含み益については売却時に20.315%の税金がかかる前提でその分を差し引いた。
  5. 両方とも配当は再投資しない前提で比較。

最後の配当を再投資しない前提ですが、高配当株投資の醍醐味は足元の現金収入によるQOL(Quality of Life)の上昇にあると個人的には考えていますので、ここではそのようにしています。

逆に、全て再投資するのであれば、高配当株投資には意味を見出しづらい状況になってしまうかと思います。

検証結果

上記前提で検証をした結果は、以下の通りになりました。

VTIの積み立て結果

VTIを10年間積み立てた結果、税引き後の含み益は+90,838USドル、累計配当は+9,727USドル、合計+100,565USドルとなりました。

年末時点 投資元本(USドル) VTI 含み益(USドル) VTI 累計配当(USドル)
2015年 12,000 193 107
2016年 24,000 1,236 408
2017年 36,000 6,166 893
2018年 48,000 8,047 1,597
2019年 60,000 13,893 2,556
2020年 72,000 27,515 3,625
2021年 84,000 46,534 4,886
2022年 96,000 33,565 6,382
2023年 108,000 47,270 7,718
2024年 120,000 90,838 9,727

VYMの積み立て結果

VYMを10年間積み立てた結果、税引き後の含み益は+50,555USドル、累計配当は+16,413USドル、合計+66,969USドルとなりました。

年末時点 投資元本(USドル) VYM 含み益(USドル) VYM 累計配当(USドル)
2015年 12,000 163 176
2016年 24,000 1,490 637
2017年 36,000 5,228 1,406
2018年 48,000 6,115 2,531
2019年 60,000 9,013 4,026
2020年 72,000 9,268 5,853
2021年 84,000 20,817 8,087
2022年 96,000 27,687 10,694
2023年 108,000 23,028 13,067
2024年 120,000 50,555 16,413

VYMについては、参考までに配当を全て再投資したパターンも検証しています。この場合税引き後の含み益は+68,851USドルになりました。

検証結果のまとめと所感

事前に予想していた通りですが、含み益+累計配当の合計利益は高配当型のVYMよりも全市場型のVTIの方が勝るという結果になりました。その差は比率にして約1.5倍、金額にして約44,000USドル(=1USドル150円前提で660万円)です。

一方で、配当金額については当然VYMの方が大きく、積み立て5年目で約1,500USドル、10年目で約7,000USドル、VYMの方が配当を多く受け取ることが出来ます。

1USドル150円を前提にすると、それぞれ約22万円、約100万円になりますので、その分を趣味や生活費に充てることで、早い段階からQOLを充実させるという考え方もあります。

将来的なリターンの大きさ(できるだけ早く資産を大きくする)、現在の生活を優先するかどうかで選択肢が変わりそうですね。

 

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